研究概要 |
ミクログリアはラット新生仔脳細胞を2〜4週間培養し,形成された単層細胞の上に現れる球形の小型細胞を集め二次培養する。一方,アストロサイトはラット胎仔大脳をトリプシン処理により単離した細胞を培養し,1週間後にまき変えることにより神経細胞を完全に除去し,ほぼ純粋なアストロサイトとする。必要に応じてこれらの混合培養細胞を用いる。ミクログリアの貪食能については,蛍光ラベルしたmicrobeads(Molecular probe社)を取り込ませ,顕微鏡用カメラ(オリンパスDP-10),及び画像解析コンピュー(MacintoshPB-G3)を用い,その数の定量評価を試みた。最初直径1μmのbeadsを用いたが,細胞あたりの取り込み数が多くて定量評価が難しく,3μmのbeadsを用ることにより,ほぼ満足な測定ができることが分かった。現在細胞の自家蛍光を減らして自動処理できうるように工夫中である。純粋のミクログリア細胞を用いた場合,オピオイド添加は貧食能にはほとんど影響しなかった。アストロサイトの共培養下での結果に期待している。一酸化窒素(NO)産生能に関して現在は,溶液中に蓄積された亜硝酸を蛍光指示薬(DAN)により定量評価している。アストロサイトとミクログリア共培養下でのLPS添加によるNO産生がダイノルフィンAの添加により部分的に抑制された。興味深いことにその効果が10^<-12>〜10^<-14>Mといであった。純粋なミクログリアではその効果がみられないことから,アストロサイトとミクログリアの相互作用にオピオイドが影響を与えているらしい。
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