研究課題/領域番号 |
10680720
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
舩江 良彦 大阪市立大学, 医学部, 教授 (00047268)
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研究分担者 |
廣井 豊子 大阪市立大学, 医学部, 助手 (30305643)
今岡 進 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (60145795)
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キーワード | チトクロームP450 / CYP2D / ドパミン / 脳内アミン / 神経伝達物質 |
研究概要 |
1. CYP2D分子種の酵母内発現 ヒトCYP2D6、ラットCYP2D4、および他のラットCYP2D分子種を酵母内に発現させ、そのミクロゾームの調製を行った。各分子種の発現は、分光学的なCO差スペクトルの測定及び特異抗体を用いたウエスタンブロット法により確認した。さらに、CYP2Dの代表的な基質であるブフラロールを用い、発現酵素の代謝活性能の有無を確認した。 2. 酵母内発現CYP2D分子種を用いた神経化学関連物質の代謝反応 CYP2D発現酵母ミクロゾームまたはラット及びヒト肝ミクロゾームを用いて以下の検討を行った。 (1) CYP2Dに対する親和性 チラミン、フェニルエチルアミンなどの脳内微量アミン、ドパミン、ノルエピネフリン、セロトニン、アセチルコリン、ヒスタミンなどの神経伝達物質が、CYP2Dに親和性を有しているかを、CYP2D活性阻害効果を指標に調べた。この結果、チラミン、ドパミン、ノルエピネフリン、セロトニンなど脳内アミンが、CYP2D活性阻害効果を有し、CYP2Dに親和性を有している可能性が示唆された。 (2) CYP2Dによる酸化反応 親和性のあった脳内アミンに対し、CYP2Dが代謝(酸化)活性を有しているかを検討した。この結果、チラミンがCYP2Dにより水酸化され、ドパミンとなることが明らかとなった。このチラミンからのドパミン生成活性は、他のCYP分子種では見られず、CYP2D選択的な反応であった。 我々の結果は、脳内に存在しているCYP2Dが、脳内微量アミンのチラミンを基質とし、ドパミン生成に関与している可能性を示峻するものであった。このCYP2Dによるチラミンからのドパミン生成経路は、従来知られているチロシンからL-ドーパを経てドパミンとなる経路とは別経路で、その意義は興味深いと考えられた。
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