研究課題/領域番号 |
10680722
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
柴 忠義 北里大学, 理学部, 教授 (80187385)
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研究分担者 |
伊藤 道彦 北里大学, 理学部, 助手 (90240994)
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キーワード | JNK / MAPキナーゼ / MAPキナーゼキナーゼ / MAPキナーゼキナーゼキナーゼ / スキャホールドタンパク質 / JNK3 / JNKカスケード / 脳神経 |
研究概要 |
本研究では、ストレスやアポトーシスのシグナル伝達に関与するMAPキナーゼファミリーに属するJNKの中で、特に脳神経系に強く発現が認められるJNK3に相互作用するJSAP1(JNK/SAPK associated protein 1)の解析を行い、以下の結果が得られた。 1. JSAP1は脳神経系で強い発現が認められ、さらにERK2、p38MAPK、JNK1-3の各MAPキナーゼの中でJNK特にJNK3に強く結合する。 2. JSAP1はJNKキナーゼであるSEK1/MKK4あるいはJNKキナーゼキナーゼであるMEKK1とJNK結合領域とは違う領域で結合する。 3. JSAP1は抗JSAP1抗体の解析より細胞質に局在する。 4. JSAP1は活性化JNK3によって、リン酸化される。 5. JSAP1のSEK1/MKK4とMEKK1の結合領域を欠失させたタンパク質は、構成活性型MEKK1によるJNKカスケードを介したアポトーシスを阻害する。 6. JSAP1をMEKK1とともに神経系に分化したP19細胞に過剰発現させると、JNKカスケードのシグナル伝達の促進が認められる。 以上の結果より、JSAP1は、脳神経系においてJNKカスケードの3種のキナーゼを空間的に接近させ、瞬時にシグナルを伝達させる場を提供するスキャホールドタンパク質である可能性が強く示唆された。平成11年度には、神経系細胞のアポトーシスやストレスの際に流れるシグナル伝達においてJSAP1の機能を詳細に調べるとともに、MAPKカスケード間のクロストークの阻害あるいは促進の可能性も検討する予定である。
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