研究概要 |
神経突起の成長円錐及び前シナプス膜に局在する蛋白であるGAP-43の機能に関しては不明な点が多いが、本研究ではまずアシル基の影響を検討するため、パルミチン酸が付加すると報告されているN末端から3番目及び4番目のシステインについて3番目のみ及び両者をアラニンに置換したものをCOS-1細胞及びPC12細胞で発現させ、蛍光抗体法及び細胞分画法により細胞内局在を観察した。野生型がほとんど膜画分に回収されるのに対し、両者をアラニンに置換したものは細胞質画分に回収され、PC12細胞においては神経突起にはほとんど観察されず細胞体に止まった像が観察された。3番目のみをアラニンに置換した場合はその中間型の結果となった。アシル化の結果と併せて考えると、CAP-43が前シナプス膜に局在しその機能を発揮するためには3番目及び4番目のシステインのパルミチン酸付加が必要であることが明らかとなった。さらにGAP-43と相互作用している蛋白質を検索する目的で酵母のtwo-hybridsystemによるスクリーニングを行ったところ、calmodulin及びmyosin軽鎖がpositive cloneとして検出された。一方in vitroの系においては、輸送小胞の標的膜との接着過程に関与すると考えられている小胞輸送因子p115/TAPとの相互作用を確認した。これらの結果は、既に報告しているSNARE複合体(VAMP/v-SNARE ; SNAP-25,Syntaxin/t-SNARE)及びその関連蛋白との相互作用の結果と合わせて考えると、GAP-43が神経終末におけるシナプス小胞の開口放出の制御に関与していることを強く示唆する。
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