研究課題/領域番号 |
10680733
|
研究機関 | (財)東京都精神医学総合研究所 |
研究代表者 |
亀谷 富由樹 財団法人東京都精神医学総合研究所, 分子生物学研究部門, 研究員 (70186013)
|
研究分担者 |
森 啓 大阪市立大学医学部老年医学研究部門脳, 神経系分野, 教授 (10159189)
田中 喜久子 (財)東京都精神医学総合研究所, 分子生物学研究部門, 技術部研究員
|
キーワード | Alzheimer's disease / amyloid / amyloid precursor protein / presenilin / Abeta |
研究概要 |
早期発症型家族性アルツハイマー病の原因遺伝子プレセニリン1(PS1)は467残基のアミノ酸からなる膜タンパク質であることが知られ、その突然変異がアミロイド線維の主成分であるAβ42を増加させることが明らかとなっている。このことは、PSlがAβの前駆体タンパク質(APP)の代謝過程に関与していることを示唆している。そこで本研究では、PSlとAPPの関連性について培養細胞を用いて解析した。 PC12D細胞および安定的にAPP695を発現するたCHO細胞(CHO695)に、PS1遺伝子およびPS1突然変異型遺伝子を安定的に組み込んだ。発現したPS1および突然変異PS1はPS1N末抗体AD3NおよびPSN2、ループ部抗体AD3L、C末抗体CC3を用いて確認した。得られた遺伝子導入細胞の膜分画に存在するAPPおよびAPPC末断片を抗APP抗体22C11、抗Aβ抗体6E10およびY27、およびAPPC末抗体R37を用いて解析した。 PSlおよびPS1A260V導入PC12D細胞と未導入細胞から得られたAPPおよびその誘導体を比べてみるとαおよびβ分泌酵素による切断およびその割合について差は見られなかった。これらのことからPSlが直接APPのαおよびβ分泌酵素による切断に関与する可能性は低いと考えられた。次に、APPの発現量に対するC端断片の量を比べてみるとPSl導入細胞では未導入細胞に比べC端断片の量が減少し、PS1A260V導入細胞ではC端断片の量が増加していた。CHO695細胞においても同様の結果が得られた。以上のことからPSlおよび突然変異PSlはAPPC末断片の代謝関与していることが推定された。 培養細胞に導入したPSlおよび突然変異PS1は膜画分に存在するAPPC末断片の代謝に影響を与えた。
|