研究概要 |
1、ニワトリ胚後根神経節より分離培養した神経細胞において、20nMのラディシコールは、単独でも、また各ニューロトロフィン;NT(NGF,BDNF,NT-3)の存在下でも神経突起伸展を増強させた。両者の効果は相加的であった. 2、同神経細胞に対する生存維持作用について、ラディシコールは神経細胞の生存を高め、また各NTの存在下でもその生存を増強させた. 3、上記のラディシコールの神経栄養因子作用においてTrkのチロシン燐酸化に影響しなかった。またMAPキナーゼの活性化にも効果を示さなかった.またPI-3キナーゼの阻害剤Wortomaninnは、ラディシコールの効果に影響しなかった。ラディシコールの効果は、NTの作用と異なったメカニズムが推察された. 4、DRG neuronは、十分量のNT添加状態で、シスプラチン、ビンクリスチン、タキソールなどの抗ガン剤などに極めて感受性が高く、細胞死が起こる。ラディシコールを加えると効果的に細胞死が抑制された。 5、ラディシコールやゲルダナマイシンの細胞内の標的がヒートショック蛋白質HSP90で、その阻害を起こす可能性が報告されている。低濃度(2nM)のゲルダナマイシンが、NTの添加、無添加状態で、ラディシコールと同様に、DRG neuronの培養に栄養因子作用を示す事実を認めた。これらの薬物の類似した神経栄養因子作用はHSP90に対する作用である可能性を示唆している。
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