研究概要 |
G蛋白とカップリングする多くのオーファンレセプターのうち、本年度はGHS-R(GrowthHormoneSecretagogue-Receptor)について発現細胞アッセイ系を樹立し、ラット脳の抽出物をサンプルとして、その内因性リガンドの検索を行った。GHS-Rは、天然には存在しないある種の合成ペプチド(GHRP-6,hexarelinなど)によって、下垂体からの成長ホルモン分泌を促進する受容体である。その内因性リガンドは20年来不明であるが、合成ペプチドGHRP-6等を用いることによって、発現細胞系が十分機能するかどうかはモニター可能である。 1, ラット脳のcDNAを鋳型として、RT-PCR法によってGHS-RcDNAを増幅し、ほ乳類細胞発現ベクターに組み込んだ。CHO細胞に安定発現させ、合成ペプチドGHRP-6を用いて、最も良く反応する細胞を選んだ。セカンドメッセンジャーとして、細胞内Caが良く反応した。この発現細胞アッセイ系は、ペプチド濃度が10^<-9>〜10^<-6>Mの範囲で十分な測定が可能であった。 2, ラット脳200匹より、ペプチド画分を抽出し、生理活性ペプチドが多く含まれる強塩基性画分より、アッセイを行った。強塩基性のペプチドをG50ゲル濾過にてサイズ分画し、5フラクションずつ陰イオン交換クロマトグラフィーにてさらに細かく展開した。この一部を発現細胞アッセイ系に添加し、細胞内Caを測定した。その結果、分子量約4,000と約2,000の両分に特異的に細胞内Ca濃度を上昇させる活性が見つかった。 3, この2つの活性は含量が少なく、最終的な精製、構造決定まではいかなかった。そこで現在、さらに多くのラット脳から精製を行うと共に、材料を得やすいブタ脳からの同様の活性について検討を行っている。
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