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1998 年度 実績報告書

ニューロン・グリア間のシグナリングの実体とその生理的役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 10680744
研究機関徳島大学

研究代表者

井上 勲  徳島大学, 分子酵素学研究センター, 助教授 (80001973)

キーワード神経系 / 神経細胞 / グリア細胞 / カリウムホメオスタシス / カリウムチャネル / 不活性化
研究概要

神経系カリウムホメオスタシス維持は、神経細胞自身のカリウム制御機構と保持細胞である、シュワンあるいはグリア細胞によるカリウム取り込みによって保たれる。本研究においてはまず、(1)イカ神経細胞を一層で取り巻くシュワン細胞を単離し、膜を通るイオンの動きとその制御機構の研究を行った。同時に、(2)イカ巨大神経カリウムチャネル不活性化制御機構の研究を開始した。以下にその結果の概要を述べる。
(1) シュワン細胞をパッチクランプし、イオンチャネルを同定した。通常、コンダクタンス50pSのカリウムチャネルが記録された。その密度は1/(10μm^2)と低く、活性は膜電位に依存しない。活性化は、細胞内側カルシウムイオン濃度に依存し、0.1-1μMへの上昇で10倍以上の活性化の上昇が認められた。一方、細胞内ATP,ACh、細胞外glutamate添加に対して活性化の上昇は全く認められなかった。このことは膜電位は細胞内カルシウムイオンの制御機構によりコントロールされていることを示唆した。細胞内にカルシウム感受性蛍光色素fluo-3をロードし、細胞外glutamateの効果を調べた。しかし、細胞内カルシウムイオン濃度の上昇は認められなかった。細胞のイオン取り込みと体積制御は、glutamate経路とは無関係な別な、(現在不明な)経路によるものと考えられる。
(2) 巨大神経細胞カリウムチャネルのもつ速い不活性化(時定数<10ms)は細胞内に注入したカルシウムイオンで減少し、BAPTAで増大することが確かめられた。Calmodulin阻害剤W-7で不活性化が増大する。これらのことから、カリウムチャネル不活性化ゲートは Ca^<2+>-calmodulinを介したリン酸化によって制御されていることが示唆された。カリウムチャネル不活性化は神経末端における神経伝達増強、神経系カリウムホメオスタシス維持に正に作用する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Inoue,I.et a.: "K accumulation and K conductance inactivation during action porential trains in the squid Sepioteuthis" J.Physiol.(Lond.). 500-2. 335-366 (1997)

  • [文献書誌] Bone,Q.et al: "Contraction and relaxation in theabsence of a sarcoplasmic reticulum:musucle ribres in the small pelagic tunicate Doliolum" J.Muscle Res.Cell Motl.18. 375-380 (1997)

  • [文献書誌] Inoue,I.et al: "Effect of lipophilic ions on the intramembrane charge movement and intracellular Ca release in fetal mouse skeletal muscle cells" Jap.J.Physiol.47. 567-570 (1997)

  • [文献書誌] Inoue,I.et al: "Towards Molecular Biophysics of Ion Channela" Elsevier Scientific Inc.,Amesterdam, 111-124 (1997)

  • [文献書誌] 井上勲他: "「脳の科学」1999年増刊号「チャネル病」" 星和書店(印刷中),

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公開日: 1999-12-13   更新日: 2016-04-21  

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