研究概要 |
キンカチョウの歌制御中枢は、聴覚制御のコリン作動性入力が存在し、歌学習に重要な機能を果たしていることが予想される(Li,Zuo&Sakaguchi,1999)。雄の歌制御中枢RAとHVCに投射しているVPのコリナジックニューロンはVPの前部と後部にはっきりとわかれて存在している(Li&Sakaguchi)。RAとHVCは、雄は歌い雌は歌わないという行動の違いに対応した非常に顕著な性的二型性のある中枢として知られており、VPのコリナジックニューロンに雌雄差があるかどうか、ChATの免疫組織化学によって検討した。その結果、細胞の大きさ、細胞数ともに、雄の方が雌よりも大きく、その差は統計的に有意であった。しかし、雌のVPニューロンは、その標的であるHVCやRAほど退化していなかった。雌のHVCは歌の認織に関与しているという報告があリ、雌は感覚学習へのアセチルコリンの機能を調べる良いモデルになるかもしれない(Sakaguchi,Li&Taniguchi 準備中)。次に、脳スライス切片を用いた膜電位感受性色素による電気活動のイメージングを行い、雌のHVC神経線維を電気刺激することによリHVCからRAへの機能的な連絡を調べた。その結果、雌にも雄と同じく、HVCからRAへの信号の伝播があるが、GABA介在ニューロンによって強く抑制されていることが明らかになった(Wang,Sakaguchi&Sokabe,1999)。現在、VPニューロンが、どのような種類の音に反応するのか、Zif-268遺伝子発現によって調べている。
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