研究課題/領域番号 |
10680757
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
浜崎 浩子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (00211483)
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研究分担者 |
山田 一之 国立精神神経センター, 神経研究所・疾病研究第4部, 流動研究員 (50212288)
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キーワード | ニューロメジンB受容体 / ボンベシン様ペプチド / ノックアウトマウス / ストレス |
研究概要 |
1.遺伝的背景がC57BL/6系統に近いNMB-Rホモ欠損型マウスを得た。このマウスの脳では正常型NMB-Rの発現がないこと、さらに、リガンドが結合しないこと、すなわちNMB-Rの機能が不活性化していることを確認した。 2.欠損マウスでは、血糖値、インスリン、プロラクチン、ガストリンなど各種ホルモンの血中濃度は、正常マウスと変わらなかった。 3.各種反射、運動、感覚、知覚能力は正常であった。 4.正常マウスでNMB-Rの発現が見られる、脳と消化管組織の組織を通常染色によって調べた限りでは、特に際だった異常は検出できなかった。また、抗体を用いた脳切片の免疫組織学的解析では、ACTH放出ホルモン(CRF)、オキシトシン、アルギニンバソプレッシン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、ガストリン放出ペプチド(GRP)、ニューロペプチドY、チロシン水酸化酵素、ソマトスタチン、アセチルコリン、エンケファリン、サブスタンスPの発現には変化がなかった。 5.NMB-R欠損マウスでは、背側縫線核におけるセロトニン発現の昂進が認められた。また拘束ストレス後では、欠損マウスは正常マウスに比べ、同核でのセロトニン発現量の増加が少ないことから、ストレスに対する反応が変化していることが示唆された。さらに、視床下部傍室核でのc-Fos発現細胞数も、非ストレス条件下における欠損マウスでは増加していることが明らかになった。強制水泳においては、欠損マウスで不動時間の増大がみられるなど、生理的ストレスに対して敏感に反応することが行動学的にも認められた。 6.ノックアウトマウスにin vivoで、あるいは単離した組織にNMBやGRPを作用させた結果、NMB/NMB-R系は、体温調節には重要な役割を担っているが、胃の平滑筋の収縮や摂食抑制にはほとんど関与していないことが示唆された。
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