研究概要 |
単一発火型の錐体細胞にバースト後発射を誘引し得る基盤となる脱分極性スパイク後電位(DAP)はCa@@S12+@@E1依存性のカチオン・チャンネルの脱活性化の過程で発生するslow tail電流(I)により担われている。このslow tail-Iは、カフェイン或いはNK3受容体のアゴニストのSenktide存在下で脱分極パルスを反復して与えると、著明に増強されたが、CaM-KIIのinhibitorであるKN-62存在下ではそうした増強は観察されなかった。 従って、こうしたslow tail-Iの顕著な増大は、CaM-KIIの活性化の結果、CICRの増強により細胞内Ca@@S12+@@E1濃度が増加したためか、或いは、カチオン・チャネル自体のCa@@S12+@@E1感受性が増大したためかの、いずれかである可能性が考えられる。この二つの作業仮説を直接的に検証するため、slow tail-Iの測定と同時に細胞内Ca@@S12+@@E1の濃度変化の測定を行った。その結果、以下のことが解明された。 1, 反復脱分極パルス通電により細胞内Ca@@S12+@@E1濃度の上昇が誘発されるが、その下降相にCICRに起因する成分が存在する。 2. 下降相はカフェインにより増強されたが、リアノジンにより抑圧された。 3. CaM-KIIのinhibitorであるKN-62は、下降相に影響を与えなかった。 4. CaM-KIIのinhibitorであるKN-62存在下でも、カフェインによる下降相の増強は、KN-62非存在下と同程度に認められた。 以上の所見より、CaM-KIIの活性化によりカチオン・チャネル自身のCa@@S12+@@E1感受性が増大する可能性が示唆された。
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