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1998 年度 実績報告書

In vivo パッチクランプ法による脊髄内痛覚伝達機序の解析

研究課題

研究課題/領域番号 10680766
研究機関佐賀医科大学

研究代表者

吉村 恵  佐賀医科大学, 医学部, 教授 (10140641)

研究分担者 古江 秀昌  佐賀医科大学, 医学部, 助手 (20304884)
キーワードin vivo パッチクランプ法 / 膠様質 / 痛覚伝達 / ペプチド / 脊髄後角 / シナプス伝達 / EPSC / グルタミン酸
研究概要

末梢皮膚への触、機械的痛み及び熱刺激によって、脊髄後角細胞にいかなるシナプス応答が誘起されるかを明らかにするため、成熟ラットのin vivo標本を用い、脊髄後角第二層、いわゆる膠様質と深層細胞からのパッチクランプ記録法を開発した。
膜電位-70mVでは、すべての膠様質細胞が自発性のEPSCを示した。また、0mVにすると、抑制性の自発性IPSCが記録された。それらの頻度と振幅は、スライス標本を用いて得られた結果と有意差はみられなかった。記録と同側後肢皮膚へ触刺激を加えると、EPSCの頻度及び振幅が著明に増加した。また、機械的痛み資源を加えると、触刺激と同様EPSCの増加が見られた。しかし、さらに痛み刺激を増加しても、早い経過のEPSCのみが誘起され、緩徐な応答は見られなかった。また、これらの応答は全てCNQXでほぼ完全に抑制され、グルタミン酸が伝達物質と考えられた。どちらの刺激による応答も、その受容野はこれまで報告されたものと比較して著明に広かった。興味あることには、膠様質細胞は、いかなる温度刺激(8〜60℃)にも応答を示さなかった。ところが、深層細胞は触、機械的痛みのみならず熱刺激にも応答した。しかし、熱刺激による応答も早いグルタミン酸を伝達物質すEPSCのみで、緩徐なシナプス応答は誘起されなかった。
以上の結果と今までの免疫組織化学的結果、その他をあわせて考えると、温度情報は主にC線維によって膠様質に運ばれるが、膠様質細胞とはシナプスを作らず、深層細胞が膠様質にのばした樹状突起にその情報を伝えていることが示唆された。また、多くのC線維が含有するペプチドを介する緩徐な応答は、膠様質及び深層細胞では観察されず、今のところ、ペプチドがいかなる機能を果たしているか不明である。以上の結果から、感覚の種類によってその回路が異なってはいても、いずれもグルタミン酸を主な伝達物質として感覚情報を中枢神経に伝えているものと考えられる。

  • 研究成果

    (11件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (11件)

  • [文献書誌] Baba,H.: "Muscarinic facilitation of GABA release in substantia gelatinosa of the rat spinal dorsal horn." Journal of Physiology. 508・1. 83-93 (1998)

  • [文献書誌] Furue,H: "A method for in-situ tight-seal recordings from single taste bud cell of mice." J.Neurosci.Methods. 84(1-2). 109-114 (1998)

  • [文献書誌] 河野 達郎: "ニューロパシックペインの基礎" LISA. 5. 988-996 (1998)

  • [文献書誌] Yang,K.: "Capsaicin facilitates excitatory but not inhibitory synaptic transmission in substantia gelatinosa of the rat spinal cord." Neuroscience Lett.255. 135-138 (1998)

  • [文献書誌] 吉村 恵: "痛覚系の可塑性" 神経研究の進歩. 42. 406-416 (1998)

  • [文献書誌] 吉村 恵: "脊髄膠様質における痛覚伝達" ペインクリニック. 19. 65-74 (1998)

  • [文献書誌] 吉村 恵: "アロディニアの機序" Journal of the Japan Society of Pain Clinicians. 5. 104-111 (1998)

  • [文献書誌] Park J: "Reorganization of the primary afferent termination in the rat spinal dorsal horn during post-natal development." Developmental Brain Research. (in press). (1999)

  • [文献書誌] Nakatsuka,T: "Plastic changes in sensory inputs to rat substantia gelatinosa oeurons following peripheral in flammation." Pain. (in press). (1999)

  • [文献書誌] Park.J: "Bicuculline-resistant,Cl-dependent GABA response in the rat spinal dorsal horn." Neuroscience Research. (in press). (1999)

  • [文献書誌] 吉村 恵: "脳機能の解明-21世紀に向けて-" 九州大学出版会, 615 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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