クラミジア感染による動脈硬化発症モデルを作製するため、動脈硬化のリスクファクターとしての高血圧および高コレステロール血症を発症する遺伝子改変マウスを用いた血管病変の検討およびマウスに対するクラミジア(Chlamydia pneumoniae)の感染性の検討を行った。 1)レニン・アンギオテンシン系の亢進による高血圧マウスにおいて、若齢時より高血圧に付随する大動脈平滑筋細胞の増殖や肥大が観察され、胸部大動脈と腹部大動脈では血管のリモデリングに質的な差が認められた。また、この高血圧マウスと正常マウス(C57B/6)に高コレステロール食を3ヶ月間摂食させたところ、血漿中のコレステロ-ル濃度に有意な差は見られなかったが、高血圧マウスにおいて大動脈基部の脂質沈着が著明であった。組織学的に粥状動脈硬化病巣であることが確認された。 2)正常マウス(C57B/6)にC.pneumoniaeを感染させ、抗体の検出とC.pneumoniae遺伝子の検出により、感染が成立することを確認した。また、感染後3ヶ月間に死亡する個体は見られず、明らかな症状も示さなかった。 今後、これらのデ-タを基に、高血圧とクラミジア感染という複数のリスクファクタ-により、動脈硬化を早期に起こすモデルマウスの開発が期待できる。
|