研究課題/領域番号 |
10680776
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
北田 一博 京都大学, 医学研究科, 助手 (70263093)
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研究分担者 |
金田 安史 大阪大学, 医学部, 教授 (10177537)
芹川 忠夫 京都大学, 医学研究科, 教授 (30025655)
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キーワード | 疾患モデル / HVJリポソーム / 遺伝子導入 / トランスジェニック動物 / LacZ |
研究概要 |
本研究においては、HVJリポソーム法を用いた生体遺伝子導入による新たな疾患モデル系を確立することを最終目標に掲げ、その基礎検討として、(1)HVJリポソーム生体遺伝子導入法の技術の確立、(2)巨大DNA導入時におけるHVJリポソーム法の有用性の評価、(3)HVJリポソーム法の微生物学的モニタリングに対する影響の評価、(4)HVJリポソームを精巣内投与した際の生殖系列への遺伝子伝達性の検討を遂行している。本年度においては、このうち、(1)と(4)について、検討を行った。 (1) 発現ベクターpEBActNIIにLacZ遺伝子を組み込み、HVJリポソームを作製した。このpEBActNIIベクターは、EBウィルスの潜伏感染装置を利用したもので、特に中枢神経系のような非分裂細胞の遺伝子導入に安定した成績が得られると期待される。そこで、ラット新生仔1日齢の右大脳2mm下の部位に50μlのHVJリポソームを接種し、経時的に脳を摘出、固定後X-gal染色を施した。その結果、離乳後においても、中枢神経系全体で安定したLacZの発現が観察された。以上により、新生仔の中枢神経系に遺伝子を導入する手法の確立に成功したことが明らかとなった。遺伝子改変動物の作製が困難な場合においても、本手法を用いることにより、中枢神経疾患の解析系を確立することも可能と期待される。 (4) 最近、リポソームを精巣内投与することにより、トランスジェニック動物の作出に成功した事例が学会報告された。そこで、核内移行の効率を向上させたHVJリポソーム法によるトランスジェニック動物の作出を試行した。精巣内投与後4日目の精巣上体からDNAを抽出、PCR法にてLacZ遺伝子の存在を確認した。この時期の雄を雌ラットと交配し現在までのところ36匹の産仔を得ている。しかしながら、ゲノムへの遺伝子の組込みは認められていない。
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