研究概要 |
本年度、宮崎医科大学附属実験動物施設で系統維持しているマンシュウハツカネズミ Mus musculus manchuの雄、雌それぞれ、性成熟(8〜10週令以上)に達した個体を無作為に抽出し、ネズミの糞線虫であるStrongyloides venezuelensisを感染させ、寄生虫の排除能を調べた。宮崎大学農学部家畜内科学教室で系統維持しているS.venezuelennsisの感染幼虫2,000匹をM.m.manchuの皮下に感染させ、1,2,3週後に糞便内に排泄される虫卵数をMcMaster法で計数した。ハツカネズミ属における糞線虫の腸管からの排除は、基本的に消化管粘膜に出現する粘膜型肥満細胞に依存しており、虫卵数の減少は成虫体の排除とほぼ同義であることが既に確かめられており、正常な排除能を持つ個体は2〜3週で完全に排除が完了する。今回、64匹のM.m.manchuに糞線虫を感染させたうち、22匹は3週までに完全に排除が完了したことから、これらを正常な排除能を有する群として確保できた。また、20匹は3週目に多くの虫卵を未だ排出しており、これらを排除能に欠損のある群として第1次のスクリーニングとした。現在、これらの正常群、欠損群同士で交配を行い、F1を作成中である。これらのペアーのうち、特に排除能欠損の群で出産率が低く、次の実験に必要十分な数のF1が確保できていない。現在、この原因についても検討中である。
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