研究概要 |
宮崎医科大学実験動物施設で系統維持している、Mus musculus manchuの雄、雌、それぞれ、性成熟(8〜10週令以上)に達した固体を無作為に抽出し、ネズミの糞線虫であるStrongyloides venezuelensisを感染させ、寄生虫の排除能を調べた。 宮崎大学家畜内科学教室で系統維持しているS.venezuelennsisの感染幼虫2,000匹をM.m.manchuの皮下に感染させ、1、2、3週に糞便内に排泄される虫卵数をMcMaster法で計数した。Mus属における糞線虫の腸管からの排除は基本的に消化器粘膜に出現する粘膜型肥満細胞に依存しており、虫卵数の減少は成虫体の排除とほぼ同義であることが既に確かめられており、正常な排除能を持つ個体は2〜3週で完全に排除が完了する。今回、90匹のM.m.manchuに糞線虫を感染させたうち、39匹(43.3%)は3週までに完全に排除が完了したことから、これらを正常な排除能を有する群(R)として確保できた。また、26匹(28.9%)は3週目に多量の虫卵を未だ排出しており、これらを排除能に欠損のある群(S)として第1次のスクリーニングとした。残りの25匹(27.8%)は何れかに特定できなかった。これらのR群、S群同士のF1作成をこころみた。これらのペアーのうち、特にS群同士で出産率が低く、次の実験に必要十分な数のF1が確保できていないものの、生まれた子すべてがSであった。またR群同士からはRが生まれた。またS遺伝子を組み込んだコンジェニックマウスの作成のために、S群とC57BL/6とのF1を作成し、二次スクリーニングを実施中である。
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