研究概要 |
マウスの活動量について系統間での多様性を調べるために、国立遺伝学研究所で維持されている11系統について自発運動性を測定し、系統間で比較した。活動量はニューロサイエンス社製の動物体温の赤外線を検出する実験動物用自発運動センサー(NS-AS01)と実験動物自発運動観察装置(AB system-24A)を用いて測定し解析した。実験中は食餌飲水とも自由摂取とし、動物室は暗期、明期それぞれ12時間ずつとした。測定は、マウスを測定用のマウスケージに移した後、連続して4日間測定し最初の1日目は馴化期間としてデータからは除外した。この結果、日本産野生マウスに由来するMSM系統は高い自発運動性を示すのに対し、JF1は低運動性を示すことが判明した。これら,二つの系統が見せる自発運動量の違いは有意な差があり、MSMとJF1を交配して得たF1雑種はMSMと同じレベルの運動性を示すことが既に明らかとなっている。現在F1雑種同士を交配して得られたF2個体群を用いて、この自発運動性の差に関わる遺伝子のマッピングを試みている。また、MSMとJF1は活動量には大きな差がみられるものの、共に消灯と同時に活動を開始し明期においてはほとんど活動を示さないという点で一致している。しかし、東南アジアの野生マウス(M.m.castaneus)に由来するCAST/Eiは消灯よりも数時間前に活動を開始することが判明した。現在のところこの活動時間帯の系統間での違いが生じる理由は明らかでないが、遺伝的に決定されている可能性が高い。この点に関しても現在遺伝的解析を行っている。
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