本年度はエクソン3と4を一対のloxP配列で挟んだ潜在型変異Tsc2アレルのホモ接合体で心室心筋細胞特異的にCreを発現する改変遺伝子(MLC2v-Cre)を持つ心筋特異的なコンディショナル・Tsc2ノックアウトマウス、及び小脳プルキニエ細胞特異的にCreを発現する導入遺伝子(PCP2-Cre)を持つコンディショナル・Tsc2ノックアウトマウスを作製し、表現型の解析を進めた。双方とも胎生致死とはならず、正常に生まれることがわかった。プルキニエ細胞特異的コンディショナル・Tsc2ノックアウトマウスに関しては経過観察を行っているがこれまでのところ異常所見は確認されていない。しかし、心筋特異的コンディショナル・Tsc2ノックアウトマウスは生後1年までの間に死亡する個体が頻発することがわかり、また異常な呼吸の様子を示すマウスが観察された。Creの発現により心臓特異的に確かに潜在型Tsc2変異アレルからloxP配列間での組換えにより欠失変異アレルの誘導が生じることも確認された。呼吸が異常になったマウスを死亡前に屠殺・剖検したところいずれの個体においても心臓の肥大化の傾向が認められたことから、一種の心筋症のような状態に陥っていると推察された。これに対し、野生型およびヘテロ接合体でCreの発現系を持つマウスのコントロール群ではその様な症状を呈するものは認められなかった。現在、組織学的解析を手始めとしてこの心臓特異的コンディショナル・Tsc2ノックアウトマウスの症状の発症機序の解明を続けている。
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