研究課題/領域番号 |
10680784
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
松田 潤一郎 国立感染症研究所, 獣医科学部, 主任研究官 (60181731)
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研究分担者 |
鈴木 治 国立感染症研究所, 研究員 (70235935)
滝本 一広 国立感染症研究所, 動物管理室, 研究員 (70280766)
小倉 淳郎 国立感染症研究所, 室長 (20194524)
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キーワード | マウス / 疾患モデル / トランスジェニック / リソゾーム病 / β-ガラクトシダーゼ / ガングリオシドーシス / 神経変性疾患 / 遺伝子治療 |
研究概要 |
酸性β-ガラクトシダーゼ(β-Gal)遺伝子の異常に起因するGM1ガングリオシドーシスは主として神経症状を呈し乳児型、幼児型、成人型に分類され、さらに同じβ-Galの異常により骨軟骨症状を呈するモルキオB病が知られており、病型は多様である。私達は既に、β-Galノックアウトマウスを作成し、乳児型のモデルになることを明らかにしており、本研究では、本症の治療法開発とともに、多様な臨床症状を呈するモデルマウス作出の試みとしてそれぞれの病型に対応した残存酵素活性の認められるヒト変異β-Gal遺伝子を導入したトランスジェニック(Tg)マウスを作成した。遺伝子治療として、2日齢のモデルマウスに、ヒトβ-Galを組み込んだ組み換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを大脳実質内に投与したところ、5週後の脳の組織学的検索で投与部位を中心にβ-Gal活性が認められたが、治療群においても非治療群と同様に9か月齢までに神経症状を発して死亡したことから、延命効果など明らかな治療効果は認められなかった。今後、より広範な中枢神経への持続的な活性発現をもたらすようなベクターの開発が必要であろうと考えられた。多様な臨床型モデル作成としては、成人型ヒト変異β-Gal遺伝子を導入したTgマウス(GalA)マウスが3系統、同幼児型β-GalTg(GalB)マウスが2系統、モルキオB型β-GalTg(GalF)マウスが2系統得られ、導入遺伝子の発現が確認された。Tgマウス組織の酵素活性は、若干増大している系統があり、蔗糖密度勾配法による検討により、GalAおよびGalFマウスではそれぞれの変異型β-Gal酵素が高分子複合体を形成しているが、GalBマウスでは形成していないと推察され、ヒトと同様の分子病理を示すモデルと考えられた。また、β-GalノックアウトマウスのC57BL/6との戻し交配により、N8世代でコンジェニック化が完成した。
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