研究分担者 |
加納 慎一郎 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00282103)
渡辺 高志 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (90250696)
星宮 望 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50005394)
半田 康延 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (00111790)
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研究概要 |
生体の筋・神経系が持つ時変性・非線形性をより正しく理解し,機能的電気刺激による運動機能再建をより精緻なものとするためには,筋繊維における収縮のダイナミクスのうち特にカルシウムイオン濃度変化のダイナミクスを正しく理解することが重要である。さて,筋繊維は電気刺激パルス列に対して,強化現象(potentiation)や保持効果(catch-like effect)を示すことがある。これらの現象の発生機序を明らかにするために,我々は筋繊維を構成する筋小胞体でのカルシウムイオンの放出と取り込みに注目し,筋繊維の活性化モデルをカルシウムイオン濃度ダイナミクスのレベルで作成した。 モデルはカルシウム誘導型カルシウム放出(CICR)チャネルを含んでおり,内部的な正帰還効果のためにカルシウム濃度の安定平衡点が2つ存在する。低濃度の安定平衡点から高濃度の安定平衡点への遷移は,高頻度の刺激パルス列で生じ,強化現象に対応させることができる。CICRチャネルはその後,数秒間かかって不活性状態(低濃度の安定平衡点)に戻る。また,このモデルで遅筋に相当するパラメータを用い,長時間刺激の後でカルシウム濃度の安定平衡点が1つとなっている状況下では,刺激パルス列に追加された単一のパルスによってその後の筋張力が数秒間にわたって増強されるという保持効果を再現することもできた。
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