研究概要 |
平成10年度の研究として、焼結ハイドロキシアパタイト(dense HA),プラズマスプレイ法によるHA coating及び高結晶度(high crystalline)HA coatingのセラミックス構造を明らかにした。また生体内におけるこれら3種セラミックスの構造変化を調べるための動物実験を開始した(観察は平成11年度)。 3種セラミックスの埋入前の構造 dense HA(商品名、アパセラム):dense HAは結晶性の高いハイドロキシアパタイトであり、0.4〜0.6μmの結晶が高密度に焼結している。 HA coating(商品名、インテグラル):HA coatingは広いアモルファス相の各所に数μm程度の結晶域が散在した構造をなしている。この結晶はハイドロキシアパタイトではなくオキシハイドロキシアパタイトである。またアモルファス域には原子密度の低い層がみられ、この層は結晶域相互間で薄く広範囲に広がっているとともに、メタル基盤に対し主として平行に分布している。 high crystalline HA coating(商品名、MP-1):high crystalline HA coatingは基本的にハイドロキシアパタイトで構成されており、アモルファス相はほとんどみられない。しかしその結晶性はdense HAに比べかなり低い。cating内にはdense HAの結晶の大きさに類似した比較的大きな結晶からなる領域と数十nmの微細な結晶が分布している領域がみられ、微細な結晶が分布している領域の場は前述したHA coating内の原子密度の低いアモルファス域の場に一致している。またcoating内にはHA coatingに比べはるかに多くの大・小の亀裂や空隙が発生している。この亀裂や空隙の発生はアモルファス相の結晶化に伴って生じた体積変化によるものと考えられる。
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