研究課題/領域番号 |
10680791
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
市野瀬 志津子 東京医科歯科大学, 機器分析センター, 助手 (60014156)
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研究分担者 |
宗田 大 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (50190864)
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キーワード | 生体材料 / 整形外科用人工関節 / 毒性の発現 / Co-Cr-Mo合金 / Ti-Al-V合金 / 合金微粒子とイオン化 / マクロファージ / 電子顕微鏡による観察および分析 |
研究概要 |
平成10年度に、オスミウムコートしたSEM試料を分析することで、マクロファージに取り込まれるポリエチレン微粒子や金属微粒子及び活性酵素の定量化ができることを明らかにした。 本年度はこれらの結果をふまえて、ポリエチレン粒子及び金属微粒子の細胞為害性や痛みに及ぼす影響を解明する実験を行った。その結果は第31回日本臨床電顕学会学術講演会において発表し、以下の通りである。 1.摩耗粉がHDPの場合に、多量のB型滑膜細胞が観察された。またコラーゲン産生が高まって滑膜は増殖したが臨床的には痛みは生じなかった。 2.摩耗粉がTi-Al-VあるいはCo-Cr-Mo合金の場合、毒性は強く、合金摩耗粉を取り込んだB型滑膜は変性、壊死した。またコラーゲン線維が溶解する等の周囲組織破壊が認められた。臨床的には痛みをともなった。 3.カーボン強化ポリエチレンの場合、毒性は強く、微粒子のカーボンを取り込んだB型滑膜細胞は変性、壊死した。またコラーゲン線維が溶解する等の周囲組織破壊が認められた。 4.滑膜組織の形態観察は人工関節周囲の環境を類推したり、材料の為害性を判定するなどの関節腔内の情報を得るために極めて有効な方法であることが示唆された。 続いて免疫電顕法を実施して、金属微粒子と結びつく蛋白質の局在を調べる実験を行う予定であったが、人工関節を装着する以前の関節腔内に存在する蛋白質の局在を調べる必要があり変形性関節症(OA)および慢性関節リウマチ(RA)の患者についてプロテオグリカンの成分であるコンドロイチン硫酸を認識する抗体(CS56)、コラーゲンを分解するコラゲナーゼ酵素を認識する抗体(MMP-1)および白血球表面接着因子(CD44)を用いて免疫電顕法を実施した。その結果の一部は第56回日本電子顕微鏡学会学術講演会で発表する予定であるが、イムノゴールド法における金粒子数により軟骨基質蛋白異常が調べられる可能性が示唆された。
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