研究課題/領域番号 |
10680792
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
医用生体工学・生体材料学
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
清水 富永 信州大学, 医学部・附属病院, 助手 (40283270)
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研究分担者 |
高岡 邦夫 信州大学, 医学部, 教授 (30112048)
斎藤 直人 信州大学, 医学部, 講師 (80283258)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | 悪性骨腫瘍 / 抗腫瘍剤 / 骨欠損 / 再建 / 骨形成因子 |
研究概要 |
悪性骨腫瘍の治療で主軸となる外科的切除では、健常組織にまで切除が及ぶ広範囲切除術により、本来の機能的な運動器としての骨が大きく欠損する。手指骨の腫瘍切除後などの小さな欠損では、自家骨あるいは人工骨を充填すれば十分な再建が得られるが、骨盤腫瘍など大きな骨欠損が生じる腫瘍の場合、力学的に十分な強度を持った十分量の骨補填は困難であった。さらに、悪性骨腫瘍では、放射線療法や抗腫瘍剤による化学療法を併用することが多く、この場合、手術後の骨形成能が低下してしまうことが予想される。本研究では骨形成能を持ち大きな骨欠損部を十分補填できる生体材料の開発を目的とした。まず、抗腫瘍剤が骨形成能に及ぼす影響を調べるために、骨形成因子(BMP)と担体の複合体をマウス背部皮下に埋植し、そこに形成される異所性骨形成能をみた。組織学的には対照群で2〜3週で内軟骨性骨化が完成するのに対して、抗腫瘍剤群では軟骨形成まで至るが成熟した骨形成には至らなかった。また、ラットに実験的骨折を作成し、抗腫瘍剤投与群と対照群で骨折治癒過程を経時的に比較すると、抗腫瘍剤投与群で骨折治癒能が劣っていた。この抗腫瘍剤が骨形成能に影響する原因を免疫組織学的に検討すると、抗血管内皮成長因子抗体を用いた検討からは、抗腫瘍剤は骨形成に必要な新生血管の誘導能低下をきたすことを用いた実験系を作成した。家兎の腸骨に欠損部にリン酸カルシウムセメントのペーストを充填し、欠損部に合わせた形状を形成した。セメント単体では、欠損を生じた骨盤骨との境界部での骨形成がなされず、一体化した骨ができなかったのに対して、欠損部にチタンワイヤーで架橋を作成したものを包み込むようにセメントを充填したものでは、既存の骨と一体化した骨形成と早期からの力学的強度が得られた。
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