研究概要 |
本年度の研究では,実際に臨床使用された人工股関節について,その周辺組織への溶出金属量を研究対象にした. 患者が使用していた人工指(finger prosthesis)が使用しなくなってから、はずされ、患者の患者の同意のもと、原因究明のために利用されることになった。インプラントを含めた人工指がその周辺組織を含めてレジン砲埋され、縦方法でスライスされた。この人工指はチタン製で、周辺組織の適合性を得るためにアパタイトコーティングされていた。光学顕微鏡観測(組織学的観測)によると、実際の使用時、ハイドロキシアパタイト(HAp)でコーティングされたインプラントは金属の一部で剥がれていた.また、製造時当初からコーティングされていなかった部分(あるいは完全に溶けていた部分)が観測された。また、軟部組織には黒く変色した部分が見られた.SR-XRF測定用試料を厚さ約50μmに切り出した.横方向の長さは約4cmである.光学顕微鏡観測により組織障害を起こしている部分は黒褐色になっていることが観測された. 今までのまとめ 蛍光x線分析法を用いて、放射光マイクロビームによるインプラントとその周辺組織での溶出金属の分布図を求めた。顕微鏡観測と放射光マッピングから次の結論が得られた。ハイドロキシアパタイトが金属から剥離された箇所では、チタンがかなりの量で溶出され、また溶出が多く見られた箇所ではインプラントと骨との結合がよくなかったことが見られた。現時点ではこの現象の因果関係がはっきりしませんがチタンの溶出は骨細胞の増殖に悪影響を及ぼしている可能性を否定できない。
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