アパタイトは生体材料として、材料強度は劣るものの、生体適合性は優れている。荷重のかからない部分の人工骨材料としては、最も期待されている。 研究計画として、1)アパタイト結晶粒子の形状制御、2)アパタイト粒子の焼結法による多孔質アパタイトの合成、3)多孔質ナパタイトの表面修飾、4)細胞増殖因子の接着、5)生体適合性に関する動物実験、の5段階を考えた。 研究計画の第1段階の1)アパタイト結晶粒子の形状制御については、バイオミメティクなアプローチによるウィスカー状、ロッド状、プレート状のアパタイトの合成に成功した。第2段階の2)アパタイト粒子の焼結法による多孔質アパタイトの合成については、ウィスカー状アパタイトの常圧焼結により、気孔率30〜70%の開気孔性多孔質アパタイトの合成した。このような多孔質アパタイトを合成したことは、人工骨材料の開発を行なう上で重要なステップを越えたものと考えている。 焼結多孔質アパタイト表面のヌクレオチドによる修飾をおこない、このアパタイトの生体適合性について、ラットを用いて検討した。1000℃前後で処理した焼結アパタイトを生体に埋め込むと、異物反応が起こるが、修飾した焼結多孔質アパタイトでは異物反応が見られず、生体組織とのしっかりとした接着が見られた。
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