本研究は多孔性チタン合金と金属材料との生体用複合材料の創製に関する研究であり、人工歯根や人工関節を体内に埋め込む際に、インプラント材と骨との結合性を高めるために、インプラント材骨子とチタン合金の多孔性金属との複合化により、多孔質表面とする。この多孔性材料作製のため爆薬のもつ衝撃エネルギーを利用し、衝撃圧縮条件、空隙率、ポアーサイズ、骨子材との接合強度について、明確にすることを目的としている。 多孔性表面とするため、粒径0.2mm〜1.0mmの純チタン粒子を用い、インプラント骨子材としては純チタン棒を用いる。円筒衝撃圧縮法により、爆轟速度約2400m/s級の硝酸塩を主成分としたPAVEXを用い、中心部に棒材を配置し、その周りに厚さ約2.5mmになるようにチタン粒子を3層配置し、その外側に衝撃波伝播圧力媒体として、水、パラフィン、グリース等の凝縮体を用い、さらに外側に厚さ約10mm程度の爆薬をセットする。得られた試料について、インプラント骨子材と多孔質部との接合強度と表面の多孔質度の関係について調べた。 その結果、グリースを用いた場合には、表面のポアーサイズ平均260μmで接合強度は150MPaであり、パラフィンを用いた場合はポアーサイズ平均270μm〜295μmと変化し、それに対応して、接合強度は130〜100MPaと変化した。接合強度とポアーサイズの間には直線関係が成立し、ポアーサイズが大きくなると 強度も減少した。通常、人骨のせん断強度60MPaであるが、この値を十分に越えていた。さらに多孔質部をTi粉末とMg粉末の混合粉にすることにより、さらに表面部の多孔質化が可能であった。
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