研究概要 |
電気的生体計測法は心電図、脳波,筋電図などの生体電気現象の計測に広く利用され大きな成果を挙げている。また生体の電気特性は電磁環境に対する安全性の確保、インピーダンスCTなどの特徴ある生体計測に重要なことは勿論、生体の電気的治療に関してもハイパーサーミアや最近注目されている腫瘍の熱的アブレーションの理論的および臨床的基礎として極めて重要であるが、新しい電気応用医療機器の開発などには生体の特性に不明の点が多く研究開発の妨げとなっている。電気的生体計測法は無侵襲であり、装置が小型・安価である利点の他、細胞内外の水分量が別々に推定できるなどの特徴があり、医学・医療への貢献が期待されている。細胞内外の水分量推定は浮腫の測定やその原因究明、脳梗塞の可逆性判定、脳死の判定、人工透析の監視、スポーツ医学などに極めて有効に利用されることが期待されている。 本研究では、細胞内外の水分推定が電気的に精度良く出来ることを理論的に解明し、更にこの様な測定がどの程度の精度で、どの様な臨床測定に応用可能であるかの基礎的事項を検討した。もちろんこの成果は今後生体電気計測や電気、電磁波に対する安全の研究推進の基礎としても広く利用できる。 本研究では複雑な生体の電気特性を細胞レベルで解明する事を目的とし、理論的な解析をおこなった。これによりほぼ生体の電気特性が理解できるようになり、生体電気計測や治療の研究・開発・評価が理論的に可能となった。例として血液の電気特性について実験的研究と理論解析結果を比較検討した。
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