pHと温度の2つの外部刺激に応答するマイクロカプセル表面の設計

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10680805
• 研究機関: 東京理科大学
• 研究代表者: 牧野 公子 東京理科大学, 薬学部・製薬学科, 助教授 (40147509)
• 研究分担者: 大島 広行 東京理科大学, 薬学部・製薬学科, 教授 (60176873)
• キーワード: 刺激応答性 / タンパク質 / 細胞 / 吸着 / 脱着 / DDS

研究概要

Poly(NIPAAm)を用いて、高温側で収縮し、低温側で膨潤するようなミクロスフィアおよびナノスフィアを調製した。Poly(NIPAAm)は33℃付近に相転移温度を持つ温度応答性ゲルを形成する。このような温度応答性の高分子を薬物デバイスとして生体内に投与した場合を考慮して、これらの粒子とアルブミンとの相互作用を25、33、35℃において検討した。アルブミンのPoly(NIPAAm)表面への吸着量は温度が高い程増加した。各々の温度における吸着はラングミュア型の単分子吸着である事が確認された。しかし、一旦吸着したアルブミンは温度を低下させても脱着しなかった。これは、ゲルが膨潤した事によって、ゲルの網目構造が広がり、吸着サイトが増加した為と考えられる。さらに、Poly(NIPAAm)で表面をコートしたガラス球を用いて細胞との相互作用を25、33、35℃で検討した。細胞の吸着量は温度が高い時に増加した。また、温度を低下させると、細胞は脱着した。細胞はアルブミン分子に比べて極めて大きな粒子径を持つため、膨潤により広がったゲルの網目構造内部に入り込めないためであると考えられる。

研究成果

• [文献書誌] Kimiko Makino: "Size-dependent thermosensitivity of poly(N-isopropylacrylamide-co-acrylic acid)hydrogel microspheres prepared by a membrane emulsification method. Phase transition temperature changes depending on the hydrogel size"J.Oleo Science. 50. 407-413 (2001)
• [文献書誌] Kimiko Makino et al: "Preparation and properties of thermosensitive hydrogel microcapsules"Colloids and Surfaces B:Biointerfaces. 21. 259-263 (2001)
• [文献書誌] Kimiko Makino et al: "Sonochemically prepared bovine serum albumin microcapsules: Factors affecting the size distribution and the microencapsulation yield"Colloids and Surfaces B:Biointerfaces. 22. 251-255 (2001)
• [文献書誌] Kimiko Makino et al: "Sustained release of hydrophobic materials from sonochemically prepared bovine serum albumin microcapsules"Colloids and Surfaces B:Biointerfaces. 23. 59-64 (2002)
• [文献書誌] Kimiko Makino: "Encyclopedia,Arthur Hubbard Ed.,"Thermosensitive Gels""Marcel Dekker,Inc.,NY(in press).