Poly(NIPAAm)を用いて、高温側で収縮し、低温側で膨潤するようなミクロスフィアおよびナノスフィアを調製した。我々は、ゲルの刺激応答性はゲルのサイズに依存して変化する事(微少なゲルほど高い応答性を示す)を界面科学的検討によって示した。次に我々は刺激応答性マイクロカプセルを調製した。界面重合法で調製したマイクロカプセルの膜はナノオーダーの厚さを持つので、pHと温度の2つの刺激に応答する事が可能であった。先ず、L-lysineを基本骨格として側鎖にisopropy1基を持ち、両末端に1級amine基を持つL-1ysineisopropylamine(LIPA)を合成した。LIPAにOrnを加え、水層とした。terephthaloyldichloride(TPC)を含有する油相中に分散すると、水/油界面で界面重合反応が起きて、Poly(LIPA-Orn-TPC)マイクロカプセルが得られた。高分子を薬物デバイスとして生体内に投与した場合を考慮して、Poly(NIPAAm)粒子とアルブミンとの相互作用を25、33、35°Cにおいて検討した。アルブミンのPoly(NIPAAm)表面への吸着量は温度が高い程増加した。各々の温度における吸着はラングミュア型の単分子吸着である事が確認された。しかし、一旦吸着したアルブミンは温度を低下させても脱着しなかった。これは、ゲルが膨潤した事によって、ゲルの網目構造が広がり吸着サイトが増加した為と考えられる。さらに、Poly(NIPAAm)で表面をコートしたガラス球を用いて細胞との相互作用を25、33、35°Cで検討した。細胞の吸着量は温度が高い時に増加した。また、温度を低下させると、細胞は脱着した。細胞はアルブミン分子に比べて極めて大きな粒子径を持つため、膨潤により広がったゲルの網目構造内部に入り込めないためであると考えられる。
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