研究課題/領域番号 |
10680806
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研究機関 | 桐蔭横浜大学 |
研究代表者 |
廣戸 三佐雄 桐蔭横浜大学, 工学部, 助教授 (00110172)
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研究分担者 |
小寺 洋 桐蔭横浜大学, 工学部, 講師 (80205426)
西村 裕之 桐蔭横浜大学, 工学部, 教授 (60189313)
稲田 祐二 桐蔭学園, 桐蔭人間科学工学センター, 教授 (40016035)
二見 瑞子 (松島 瑞子) 桐蔭横浜大学, 工学部, 助教授 (30209142)
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キーワード | ポリエチレングリコール誘導体(PM) / 化学修飾 / 安定化 / 糖鎖 / 糖鎖除去酵素 / 糖タンパク / インベルターゼ / エンドグリコシダーゼH |
研究概要 |
申請者らはすでに、トリプシン及びアスパラギナーゼ等の酵素にポリエチレングリコール誘導体(櫛型修飾剤PM_<100>およびPM_<13>、以下PMと略)を化学修飾し、その耐熱性、耐酸性、タンパク質分解酵素に対する耐性等の獲得(即ち安定化)に成功している。 申請者らは分子量の50%を占める糖鎖を持った酵母由来のインベルターゼをPM修飾した場合の有効性を検討した。酵素の至適pPH4.5とPM付加に適した酸性度がpH8.0以上であるため、4℃以下で反応時間1時間以内反応後直ちに至適pH緩衝液を用い、限外濾過することで酵素の失活を防いだ。その結果、インベルターゼのPM修飾には成功したが糖鎖を持つ酵素をそのままPM修飾してもPMによる酵素の安定化は得られないことが判った。 申請者らはPM修飾による酵素の安定化を獲得させるべく酵素の糖鎖を除去してから修飾剤を結合させることを試行した。糖鎖除去酵素としてエンドグリコシダーゼHを用い糖鎖除去した後pH調整してからPM修飾した酵素と糖鎖除去処理だけの酵素および未処理酵素とを用い次の結果を得た。65℃における熱安定性に於いて、最も安定性に欠けていたのは糖鎖除去処理だけを施した未修飾インベルターゼで90分の曝露によって完全失活したが、その時点でPM修飾インベルターゼは50%の活性を残していた。なお、未処理インベルターゼは40%の残存活性があった。タンパク質分解酵素に対する耐性に於いてもトリプシン処理に対して、糖鎖除去処理だけを施した未修飾インベルターゼは30分処理後に10%しか残存活性が認められず、PM修飾インベルターゼは30%以上の活性を保持してい他のに対し未処理インベルターゼの残存活性は20%に止まった。pH依存性における比較でも、糖鎖除去処理だけを施した未修飾インベルターゼはその至適範囲はpH4.0〜5.5を、PM修飾インベルターゼはpH3.5〜7.0を示したが未処理インベルターゼはpH3.5〜6.0であった。 以上のことは、これまで単なるPM修飾だけでは酵素を安定化できないと思われていた糖鎖を持つ酵素も糖鎖除去の後でpM修飾すれば安定化が獲得できるようになる、即ち、酵素の安定化という技法が一般化できることを示唆するものである。さらに、次の糖鎖を持つ酵素としてガラクトシダーゼを考慮に入れている。
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