研究概要 |
細胞接着活性を有するオリゴペプチドRGDS、RYDS、EILDV、YIGSR等を液相法により合成し、元素分析、アミノ酸分析、TOF-MS、NMR等により合成されていることを確認した。また、RGDSミメティックペプチドとしてアルギニン部分の側鎖にメチレン部分が一つ多いホモアルギニン(hR),メチレン基を酸素原子に置換したカナバニン(Ca)を導入した非天然ぺプチドを新規に2種類合成することに成功した。さらに、グリシン部分にピペリジン環を持ち構造上、自由度のないニペコチック酸に置換したRNiDSや同様に環構造を有するRPDS、逆にグリシンより自由度のあるβ-Alaを含むRβADSの合成方法を確立した。これら、RGDSミメティックペプチドは、元素分析、TOF-MS、NMRにより合成を確認し、また、アミノ酸分析においても非天然アミノ酸の定量化方法を検討し、含有非天然アミノ酸の定量・同定を行った。 これらのRGDSミメティックペプチドを用いて,血小板凝集阻害実験を行い、IC50を求めることによりミメティックペプチドの構造活性相関について検討を加えた。その結果、hRGDSおよびRNiDSはRGDSと同等の活性が見られたが、CaGDS、RPDS、RβADSはRGDSに比較し活性が弱いことが明らかになった。また、REDV、EILDVおよびアスパラギン酸を他のアミノ酸に置換したぺプチドには活性が見られなかった。これらの結果より、アルギニン部分は、アミノ酸を置換し側鎖長などを変化させてもグアニジド基があれば強弱があるものの活性発現が見られるが、アスパラギン酸部分は置換することは出来ず側鎖のカルボキシル基の存在の重要性が示唆された。また、グリシン部分は、主鎖構造において制御可能なアミノ酸中あれば、他のアミノ酸に置換しても活性は発揮することができる。 ECEPPの分子力場を用いて,RGDS配列を含むオリゴペプチドのコンホメーション解析を行ったところ、いずれの場合においても、ターン構造を有し、さらに、ArgとAsp残基の側鎖の配向および水素結合が安定構造形成において重要であることが明らかになった。 以上のことが平成10年度の研究で明らかになったことの概要である。
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