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1998 年度 実績報告書

骨粗鬆症による海綿骨の病的変化過程の解明と骨折予防への応用

研究課題

研究課題/領域番号 10680808
研究機関近畿大学

研究代表者

速水 尚  近畿大学, 工学部, 助教授 (20173057)

研究分担者 岡 正典  京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (20088537)
キーワード骨粗鬆症 / 生体力学 / 海綿骨 / 骨折 / 亀裂
研究概要

本研究の目的は,骨粗鬆症がヒト海綿骨の力学的強度を低下させる機序を海綿構造の変態の観点から検索し,骨粗鬆症が原因となる骨折機構を生体力学的に検索することにある.
まず,大腿骨頚部内側骨折の骨折型を典型的骨折型(典型群)と三日月型骨折型(三日月群)に分類した.そして,骨折骨頭の前額断面を主圧縮骨梁群の近位部と遠位部,主圧縮骨梁群を境に内側部および外側部の計4カ所の領域に分け,各領域の海綿骨の骨密度,圧縮強さや骨形態計測indexなどを測定して,骨頭の力学的・形態学的特性マップを作成した.両群の骨形態計測を行い,Tb.Th,Tb.Sp,N.Tm/TV,N.Nd/TV,BV/TVなど合計11種類のパラメータを領域ごとに測定し,骨形態マップの作成を試みた.典型群,三日月群ともに,骨梁幅Tb.Thは主圧縮骨梁群で大きく,ついで外側,内側の順に小さかった.Tb.Thの平均値は,非骨折群,典型群,三日月群の順に小さく各群間には統計学的有意差が認められた.骨梁連続性についても同様の特性が認められた.一方,骨梁の配向方向や配向の程度には,各群間に有意差は認められなかった.
これまで,海綿骨内を進展する亀裂の挙動観察はほとんど行われていない.本研究では,大腿骨頭海綿骨に人工的な予亀裂を導入した.そして,予亀裂先端にせん断力を集中して亀裂を生じさせ,その進展挙動をVTR撮影した.亀裂の進展特性は骨梁構造形態によって大きく影響されることが明らかになった.すなわち,骨密度が高く骨梁構造が密な場合,亀裂は予亀裂先端部に発生して,荷重の作用方向に沿って進展した.しかし,骨粗鬆症で骨梁構造が疎となると,亀裂は予亀裂先端からは発生せずその周囲の弱い骨梁から荷重方向とは異なった方向に発生した.また,亀裂の発生は異なった場所から多発的に生じ,亀裂の進展によって破壊するというより,崩壊様に破壊することが明らかになった.

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 速水 尚: "骨粗鬆症による骨頭海綿骨の骨梁構造変化と大腿骨頚部内側骨折の骨折機序" 日本臨床バイオメカニクス学会誌. 19. 327-332 (1998)

  • [文献書誌] Hayami,T: "The effect of structural change of cancellous bone caused by osteoporosis." 近畿大学工学部研究報告. 32. 169-174 (1998)

  • [文献書誌] 江坂拓南: "骨粗鬆症海綿骨の力学的特性に関する研究(第1報)" 日本臨床バイオメカニクス学会誌. 19. 321-325 (1998)

  • [文献書誌] 岩崎祐喜: "骨粗鬆症海綿骨の骨梁構造変化に関する研究" 日本臨床バイオメカニクス学会誌. 19. 365-369 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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