研究課題/領域番号 |
10680811
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
医用生体工学・生体材料学
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研究機関 | 熊本工業大学 |
研究代表者 |
松本 陽子 熊本工業大学, 工学部, 助教授 (00133562)
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研究分担者 |
金納 明宏 パナファーム・ラボラトリーズ, 研究員
上岡 龍一 熊本工業大学, 工学部, 教授 (70099076)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | リポソーム / がん化学療法 / 膜融合 / アポトーシス |
研究概要 |
1.複合脂質膜のin viroにおける制がん効果 臓器由来の異なる種々の腫瘍細胞としてのヒト肺腺がん細胞、ヒト胃がん細胞、ヒト肝臓がん細胞を用い、複合脂質膜(L-α-ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)/10mol%ポリオキシエチレン(10)ドデシルエーテル(C_<12>(EO)_<10>))の増殖抑制効果を検討した。DMPCのみでほとんど増殖抑制効果がないのに比べ、DMPC/10mol%C_<12>(EO)_<10>複合脂質膜では大きな増殖抑制効果が得られ、特にヒト胃がん細胞で顕著であった。 2.複合脂質膜の制がんメカニズム 蛍光顕微鏡写真、アガロースゲル電気泳動、フローサイトメトリーおよびマイクロフィジオメーターによる解析から、複合脂質膜がアポトーシスを誘導していることが明確となった。マイクロフィジオメーターによる細胞内応答の観測結果はフローサイトメーターから得られた断片化DNA含量の経時変化とよく一致することも初めて見出された。カスペース阻害剤を用いた実験から、複合脂質膜はカスペースを活性化していることが明らかになった。 以上のことから、(1)がん細胞膜への複合脂質膜の融合・蓄積、(2)細胞質におけるアポトーシスシグナルの伝達、(3)カスペースの活性化、(4)核内におけるDNA分解に至る、細胞膜をターゲットとする新しい制がんメカニズムを考えた。 3.in vivoにおけるマウス肺がんに対する治療効果 in vivoにおける肺がんモデルマウスに対するDMPC/10mol%C_<12> (EO)_<10> 複合脂質膜の治療効果について検討した。コントロール群では、平均生存日数25.0日、最大で45日間の生存に対して、複合脂質膜を投与した治療群では、すべての群において1年以上の生存が6例中4例認められ、完治している可能性が大きい。複合脂質膜は、副作用のない新しい化学療法剤として臨床応用が期待できる。
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