研究課題/領域番号 |
10680813
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研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
中村 真人 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室員 (90301803)
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研究分担者 |
妙中 義之 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 部長 (00142183)
巽 英介 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室長 (00216996)
増澤 徹 茨城大学, 工学部, 助教授 (40199691)
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キーワード | 全人工心臓 / 流量制御 / 酵素消費量 / 混合静脈血酸素飽和度 / 心拍出量 / 動物実験 / 正常動物 / 光センサ |
研究概要 |
本研究の目的は、生理的な全人工心臓駆動制御法を確立することである。そのために、光センサーを用いて混合静脈血酸素飽和度(SvO2)をモニターし、Fick法により求めた酸素消費量を応じて人工心臓の駆動を制御することで、生体の酸素要求量に応じた拍出流量を実現する方法を考案し、開発に着手した。 98年度は、正常動物2頭の基礎データ採取を行い、酸素消費量に基づく流量制御に必要な特性を検討した。正常仔牛に超音波流量計、オプティカルカテーテルをそれぞれ肺動脈に装着し、心拍出量、SvO2の持続測定を行った。運動負荷試験での酸素消費量と酸素供給量のデータ解析を行い、心拍出量とSvO2、酸素消費量と酸素供給量の関係式を検討した。また、制御の反応速度を検討するため、運動のステップ負荷を行い、心拍出量とSvO2の反応性を検討した。 その結果、運動負荷試験では、心拍出量とSvO2には良好な相関が得られ、酸素消費量と酸素供給量では、さらに高い相関が得られた。このことは、正常動物では酸素消費に応じた酸素供給、心拍出量のコントロールが行われていることを示唆し、酸素消費量に基づく流量制御法の生理的適合性が示された。反応速度の検討では、心拍出量とSvO2、酸素消費量はほとんど同じ時間遅れで反応することが見出され、酸素消費量に基づく流量制御法は、反応速度的にも十分生理的な速さを有することが示された。 以上の正常動物の運動時での結果に基づいて、プログラム作製に必要なサンプルの採取、処理方法、最適な制御への組み込み方を決定し、空気駆動型全人工心臓用のプロトタイプ駆動プログラムの作製、コンピュータシミュレーション、in vitro試験での検証に着手した。 また、作製された制御プログラムで人工心臓を駆動するための慢性動物実験を計画中である。
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