平成11年度の研究実績の概要は以下のとおりである。 1.歴史学的研究 『隋唐五代墓誌〓編』(全30巻)中の墓石資料を調査した結果、澄心寺比丘尼優曇禅師が三階教僧であったことが明らかになった。なお、平成12年3月の西安一帯の墓碑調査の結果、同禅師の墓碑銘は昭陵博物館に保存されていることが確認された。 2.文献学的研究 (1)敦煌遺書北新1002号(『仏性観修繕法』)は首尾を欠いた写本であるが、筆者が三階教文献として注目していた北京8386が文献の後半部分を筆写した写本であることを特定した。このことにより『仏性観修繕法』の全文がよみがえったことになる。 (2)敦煌本と本邦本と『三階仏法』の成立と伝播について、七寺写本の特徴も含めて明らかにした。 3.思想史的研究 昨年度から研究を続けていた『三階観法略釈』(P2268)の思想内容の分析を終え、同文献には華厳や禅の思想的の影響が見られること、成立は7世紀半ば以降であることなどを明らかにした。
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