本研究では、覚醒動物を用いて方位弁別学習の受容野特性に及ぼす影響を、行動科学的手法として弁別訓練・生理学的手法として内因性信号を用いた光学測定による広範囲な記録を用いて学際的に調べ、観察された現象を、伝統的な学習・記憶のパラダイムから解釈することにより、学習過程に対応するダイナミックな大脳皮質活動を観察することを目標としている.そこで、今年度を次年度以降に学習訓練と関連した大脳皮質活動の光学測定を行うための前段階とし、装置を設置するとともに実験の方法論を確立させることを第一の計画とした. 今年度の成果として、1)光学測定装置を稼動させ、2)麻酔下のサルを用いて眼優位性コラムおよび体性感覚野からのマッピングを行い、3)来年度にむけて視覚刺激装置を稼動させた.現在は、光学測定の結果を最適に解釈するための画像処理ソフトウェアを開発中である.光学測定の装置は、外部装置との接続部分が故障しているが、業者に改善を依頼してある.光学測定は、まず覚醒動物よりも統制が容易な痳酔下動物での記録を確実に行なえるよう、現在も努めている.視覚刺激は光学測定装置とのインターフェイスを組み込むと完成する. 現在までには方位選択性コラムの光学測定を行っていないが、来年度初頭にはまず痳酔下動物を用いて方位選択性コラムを観察し、画像処理ソフトウェアの動作を確認する.また、弁別訓練を行うための実験条件は順調に完成しつつあり、来年度前半までには、予備実験の実施を目ざしている.
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