研究概要 |
ハトにおける階層性の学習を検討するために、反応キーが3つついたオペラント箱内で高次条件性弁別訓練を8羽のハトに行った。室内灯の有無(2)X3つのキーへの緑色光点滅の有無(2)Xその後中央キーに照射される色光(橙・青,2)からなる8種類の刺激組み合わせに従って左キー(白)と右キー(赤)を選択する課題である。正答は、(1)室内灯点灯→緑色光点滅→中央キー橙色→左キー選択、(2)室内灯点灯→緑色光点滅→中央キー青色→右キー選択、(3)室内灯点灯→緑色光点滅なし→中央キー橙色→右キー選択、(4)室内灯点灯→緑色光点滅なし→中央キー青色→左キー選択、(5)室内灯消灯→緑色光点滅→中央キー橙色→右キー選択、(6)室内灯消灯→緑色光点滅→中央キー青色→左キー選択、(7)室内灯消灯→緑色光点滅なし→中央キー橙色→左キー選択、(8)室内灯消灯→緑色光点滅なし→中央キー青色→右キー選択 このうち1種類を除く7種類をすべて訓練した後、残りの試行でテストした。もし、ハトが階層的学習を行っているとすれば、残る試行でも正しい選択を行うはずである。しかし、全てのハトが正答とは逆の反応キーを選択した。このことは、階層的学習ではなく刺激形態化によって課題を習得していることを意味している。なお、その後、左右の反応キーの色(白色と赤色)を交換することによって、特定の位置に対する反応を自発しているのか、特定の刺激に対する反応を自発しているのかを確かめたところ、前者であることが判明した。これらの成果を米国の学会ならびに国内のシンポジウムで発表した。
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