これまでに行ってきた研究において、長い瞬目の生起頻度と視線の固定化を指標とすることで、個人差に依存せず、自動車運転中の運転者の眠気を予測できる式(1)を求めることが出来た。さらに走行中に発生した居眠り事故の分析により予測眠気表情値が3に達した時点が警告を発する適切な時点であることが確認された。 Y=2.812+0.032Long10(-1)-0.695EOG-H(-1) 式(1)Long10:覚醒時の平均瞬目持続時間よりも10%伸長した瞬目の生起頻度EOG-H:水平眼球運動電位の5秒間のSD、()内はLag値本研究では上記の成果に基づき、自動車運転時の眠気予測システムについて実用化に向けた基礎的検討を行った。 特に、(1)個人差に依存しない眠気予測方法の開発、(2)予測の精度の向上、(3)警告タイミングの決定(危険な眠気レベルの同定)に着目し、複数の生理学的および行動指標を組み合わせた個人差の少ない予測式を求める。これに基づきリアルタイムに眠気を予測し、事故に至る前に警告を発するシステムを実際に構築しその実用性を検証することを目的とした。 眠気予測システムの実用化には、個人差を更に低減させ予測精度を向上させる手段の開発、走行環境条件の影響、警告の覚醒効果などを検討することが必要であるため、平成10年度は、まず既製のソフトウェア・機材を組み合わせて、簡易型自動車シミュレー夕を構築した。さらに、眼球運動、頭部の動揺などから眠気を予測するシステムを構築した。 また、平成11年度に実施予定の実走行実験の準備段階として、運転環境と運転者の動作等を同期させて記録する「動作・環境同時記録システム」を構築し、走行実験に向けて調整中である。
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