研究概要 |
本年度の研究は、以下の2点に要約される:1.これまでアメリカを中心に行われた組織シチズンシップ行動(organizational citizenship behavior)に関する心理学的研究を検索し、研究傾向を調べた。 2.これまでの研究成果を参考にしながら、日本企業における組織シチズンシップ行動とは何かについて予備調査をおこなった。 1. これまで行われた組織シチズンシップ行動に関する心理学の論文の傾向を調査するために、まず心理学関連文献データベース(PsychLit)によってキーワード検索を行った。その結果、最初の論文が発表されたのは1983年であり、研究数は1990年以降徐々に多くなっていることがわかった。さらに、最近の組織シチズンシップ行動研究についての展望論文(Bolino,1999;Van Dyne et al,1995)から、これまで類似した概念がいくつか示されー例えば、「組織への向社会的行動(organizational prosocial behavior)」 「組織への自発性(organizational spontinueity)」ー、未だそれらの概念間に混乱のあること、報酬に無関連に自発的に行われるというよりは印象管理(自分の行動をよく見せようとすること)を篇図して行われていることが多いのではないかとする見方のあることがわかった。 2. 日本企業において、具体的にどういった行動が組織シチズンシップ行動に該当するのかが問題になる。そこで、これまで作成された組織シチズンシップ行動尺度の項目に加えて、日本独自と思われる行動を加えて調査票を作成し、予備調査を行った。現在、調査結果は分析中である。
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