本研究の目的は、これまでに行われてきた映像の学習効果に関する諸研究の結果をメタ分析によって総合的に検討し、映像教材の評価において検討すべき要因(学習内容、映像の種類、学習形態、学習者特性)、ならびに、測定指標を提出するとともに、それらを基に、映像教材の評価のための一般枠組みを試作することである。本年度は、その第一段階として以下の研究を行った。 1. メタ分析の諸方法の比較検討 メタ分析の代表的な5つの手法について比較検討を行った。その結果、effect sizeの算出法、及び、算出されたeffect sizeの事後処理について各手法に違いがあること、また、各手法の使用状況に偏りがあることが明らかにされた。これらの結果と今後の進め方について、米国の専門家にレビューを受け、それを踏まえて、現在、コンピュータ・シミュレーションに基づく最適な手法の選定作業を実行中である。終了次第、その成果を公表する予定である。 2. 静止画、及び、動画の学習効果に関する研究事例の収集 静止画、及び、動画の学習効果について扱った研究をデータベース(Psychological Abstracts)から検索しで、それぞれ100件程度の研究論文を収集した。収集された研究論文の実験条件、課題、従属変数、分析方法、結果についての情報を整理し、メタ分析適用のための準備を進めた。その成果の一部は、近く、関連学会にて公表する予定である。 3. 映像教材の評価に関する予備調査の実施 2.で明らかになった知見の一部を利用して、実際の映像教材に対する評価の予備調査を行った。その成果の一部は、関連学会において公表した。
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