日本における「外国人労働者問題」は、バブル期の出稼ぎ型「不法」就労者の急増によるさまざまなフリクションの発生という段階から、近年の経済不況のもとで雇用不安が生じ、かつまた一方で日系人を中心に外国人労働者の長期滞在化さらには定住化の傾向が深まるなど、新たな段階に入ってきた。本研究は、異文化を背負いながら日本社会にあって日々生活を再生産している外国人労働者の生活ネットワークを実証的に明らかにすることを目的とする。 研究目的を達成するために、本年度は日系外国人と東南アジア、とりわけタイ人労働者を対象とし、次のように調査・研究を実施した。 1. 文献研究:先行研究のサーベイと理論・調査枠組の構築 2. 実証研究 (1) 調査対象地域 1) 岐阜県西濃地域:大垣市 2) 神奈川県央地域:愛川町、厚木市 (2) 調査内容 1) 統計資料等の収集および分析 2) インタビュー調査:外国人労働者、行政、企業、地域住民組織など 今年度の成果について要約しておくならば、外国人比率、都市規模、都市形成の経緯、キーパーソンの有無などによって、外国人の生活ネットワークおよび地域社会での外国人の受け入れに違いが出ることが明らかになった。こうした点を引き続き明らかにするとともに、来年度は外国人労働者を対象とするアンケート調査を実施し、数量的な把握も試みてみたいと考えている。
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