平成11年度においては、災害時における情報ボランティア、NPO/NGO、専門家、行政機関の間のインターネットを利用して展開される災害救援ネットワーキングの実態把握を行うために、広島水害(1999年6月末発生)の被災地で聞き取り調査を行い、自治体(広島県、広島市、呉市)とNPO(広島NPOセンター、広島市災害ボランティア本部、呉市吉浦ボランティア本部、震災がつなぐ全国ネット)による救援活動でのインターネット利用の実態調査を行った。 さらに、トルコ北西部大震災(1999年8月発生)および台湾中部大震災(1999年9月発生)において、救援活動のために国連や自治体の防災機関関係者、災害救援専門家・研究者、NPO/NGO関係者、マスメディア関係者、業界団体関係者等によって組織された「1999トルコ大震災支援委員会」のメーリングリスト運営や支援活動に情報ボランティアとして参加しながら、国際的な災害救援活動におけるインターネット利用の実態調査を行った。 そして、これらの調査研究から得られた知見についてハーバーマスの公共圏論をもとに理論的な考察を行い、「デジタル・ネットワーキング(:インターネットを活用して展開される代案提示・実践活動)」に関する先行研究の知見を批判的に検討し、その社会変革に対する意義と課題を明らかにした。
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