インターネットのホームページは、新たな情報発信手段として注目され、コミュニティ放送局においても放送を補助する手段として活用されている。一方で社会学・社会心理学の領域では、様々な社会現象を分析する手がかりとしてホームページが研究の対象となっている。ホームページは、機能的に見ると文字・画像・音声のデータをリンク機能によって相互に連結しあうことで、その論理的構造を動的に生成できるハイパーテキストという特質を有している。インターネット上で可読性のあるデータは、その大多数をハイパーテキストの範囲に含めることが出来ることから、インターネットはハイパーテキストの社会と考えることが可能である。本年度の研究では、コミュニティ放送局におけるインターネット活用の現状を調査することと並んで、インターネットを研究対象とし、コミュニティ放送局におけるホームページ活用の諸相を考察する際の基礎として、ハイパーテキストというテクノロジーに着目した。これによって、コミュニティ局と地域、コミュニティ局と他メディア、コミュニティ局同士等々、ホームページ相互の表面的な関係性を見るのみならず、容にまで踏み込んだ研究が可能となる。具体的には、まずハイパーテキストの概念をその起源に溯って整理し、次にハイパーテキストの「テキスト」の要素を考えるために、文学研究とハイパーテキストとの関連を考察した。続いてコンピュータ・サイエンスの領域におけるハイパーテキストの理論を整理してインターネットとの関連を明らかにした。最後にこうした考察を踏まえて、インターネット上のホームページを研究対象とする際の新たな手法を獲得するために、人文科学、コンピュータ・サイエンス、認知科学の分野の知見を援用する可能性を検討した。
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