本研究の目的は、現在の我が国の大学評価・改革の推進政策が、私立大学に対してどのようなインパクトを及ぼしたのかを量的、質的両面から検討することにある。これの研究目的のため、本年度は、広島大学大学教育研究センターが平成10年4月に発表した大学評価に関する質問紙調査を中心に、既存のデータの再分析及び統合を通じたデータベース構築作業を行った。この分析過程での成果は、平成10年11月に広島大学大学教育研究センター研究員集会において口頭発表を行った。また、日本の私立大学と国立大学との関係に関する政策過程について文献を中心とした分析を行い、この成果は米国ボストン・カレッジ発行のInternational Higher Educationに掲載された。さらに、次年度における最終報告に向けて、コンピューター関連の設備状況の整備及び、私立大学の財務等の入力及び分析を行った。現在分かってきたことは、直接的に評価政策が財政配分その他の資金に結びつきやすい国立大学に比べ、私立大学はその改革政策・評価政策において若干の時間的遅れとインパクトの弱さが見られること、その一方で、少なくとも財政面では、国公立、私立の間のボーダーレス化が予想以上の早さで進行していることであった。このことについては、平成11年度に漸次発表を行う予定にしている。
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