本研究では、全国のオルタナティブな学習施設を対象に、質問紙調査を実施した。第一条校以外のオルタナティブな教育活動を実践している学習施設を各々の代表者による自己規定にもとづき、次の六つに分類した。(1)「フリースクール」、(2)「フリースペース」、(3)「補習塾」、(4)「進学塾:進学塾・予備校・サポート校等」、(5)「親の会」、(6)「その他」。(「その他」には、カウンセリング施設や心理臨床クリニック等の民間相談機関、適応指導機関、専門学校や通信制高校、夜間学級等の学校施設、児童福祉施設、自己啓発施設、子ども会等のサークル等々の「学び舎」が含まれる。)調査結果の分析では、上の(1)〜(5)を主な分析対象とした。 対象として選定された学習施設の総数は359箇所で、最終的な回収率は40.0%であった。主な質問内容には、(1)基本的特性、(2)空間特性、(3)学習活動、(4)運営方法、(5)受け入れ状況、(6)スタッフ、(7)活動評価、(8)自由記述、が含まれる。 以上の調査の結果、不登校児童・生徒の急増に伴い、特に1980年代以降、多様な学び舎が誕生していること、特にフリースクールとフリースペースが近年急増していること、それらの中には、保護者や子どもの参画など、従来の学校教育とは異なる形で新たな公共性を構築しようとする芽生えが見出されること、その一方で財政難等の共通問題を抱えている施設が少なくないこと等が明らかになった。今後の課題は、自記式質問紙調査に基づく量的な分析のみならず、質的な分析をできるだけ広範囲に実施することである。
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