研究概要 |
本年度は,本研究課題の初年度(研究期間は平成10年度から平成11年度の二年間の予定)にあたるため,従来の自傷行動への対処法の整理,関連する文献の収集,かつて指導した自傷行動を主訴に来談したケースの現在の様子の追跡を中心に行った.また,試験的に知的障害を伴う成人2名に対する支援(いずれも精神薄弱者入所更生施設に入所)を行い,自傷行動に取り組んでいる現場での問題点や,本研究において提案しようとしている分類の枠組の妥当性に関する情報の収集を試みた.これらの資料・情報をもとにマニュアルの素案を作成しつつある.現時点では大きく,「対処の基本編」と「対処技法編」と「技法選択編」の三部構成にする予定である.「対処の基本編」においては,マニュアルのコンセプト,基本とする理論,近年と取り組みにおけるパラダイムの転換について概説し,「対処技法編」では心理・教育的方法論と薬物療法の解説,「技法選択編」では,自傷行動の分類,分類の手続き,技法選択の方法に関する情報を載せようと考えている.また,「対処技法編」にのせる技法の指導結果を日本行動療法学会第24回大会にて発表し,「技法選択編」の中核部をとなる分類と技法選択の方法に関する部分は,その内容の一部を二冊の書籍の中で公表した. 来年度は,この案を具体的なマニュアルとし特殊教育関係の教師や知的障害児者とかかわりのある機関の職員に検討してもらい,その結果を基により使用しやすいものの作成を試みる予定である.
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