本研究は、その研究計画調書において、平成10年度は、 (1)関連文献の講読と論評、 (2)マルチメディア民族誌資料の収集、 (3)民族誌資料のオンライン化を完了することを目標としていた。また、 (4)本奨励研究のサイトのアップロードについても、コンピューターの準備が整い次第、ただちに試験的運用を開始することを計画していた。 このうち、 (1)から(3)の項目を予定どおり遂行した。ムービーやサウンドのファイルについてもデジタル変換を進め、計画通り、オンライン上で資料を閲覧することを可能にした。(4)についても、予定よりも早く、http://africa.u-shizuoka-ken.ac.jp/にて、アップロードを開始することができた。 平成10年9月1日より研究室にウェブ・サーバーを設置した。日本語版ウェブ・ページは、同年12月1日より既に公開を開始し、英語版についても平成11年1月12日より試験公開を始めた。日本語版については、公開以来二ヶ月半で、予想を上回る500件を越えるアクセスがあった。また、各種検索エンジン、日本民族学会ホームページ、京都大学アフリカ地域研究資料センターホームページなどにリンクを依頼し、了承された。 本研究の研究成果の発表は、現在のところ印刷メディアを通じて実施する予定はないが、当ウェブページ上で、情報化社会の人類学の問題を論じた小論を既に公開している。電子メールによる読者からの反応も既に寄せられている。ある若手研究者からは、情報化時代の民族誌家の在り方について啓発的である、という評価をいただいた。また、フィンランド在住のケニア人女性からは、「私達の国の人々を知るにはとても良い機会です」との感想が寄せられた。フィールドワークの成果を国内外、学会内外を問わずに公開するという本研究の目的は、このように、既にある程度達成されつつあるのである。
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