本研究は、「東国」古代史を解明する上で、同地域の、律令国家による東北経営策(棚戸等の配置による植民政策、蝦夷の征討ならびに俘囚の内国への移配)を進める際の前線基地としての位置づけを重視する立場から、まず東北諸県に存在する城・柵・官衙等の遺跡よりの出土品中にみられる木簡・墨書土器等の文字資料を網羅的に収集して一覧表化し、それらと「六国史」・法制資料(『類聚三代格』など)等の編纂物との突き合わせ、関連付けの検討を行うことを通して、東北経営策において東国の果たしていた役割を考察しようとするものである。 本年度は、研究の第一段階として、関係史料のデータベース構築に向けての作業、およびそれに基づくデータの一部入力を行った。具体的な方法としては、すでに調査報告書の刊行がなされているものについてはそれに基づき、それ以外のものについては現地での資料の保管機関のうちのいくつかの施設を訪問しての実地調査を行った。なお、データベースソフトは管理工学研究所の桐Ver.7を使用している。 本研究自体が本年度中途での採択となったため、作業はその緒についたばかりの状況にあり、今後も継続して行わなければならない部分を多く残している。平成11年度については、以上をふまえ、同様な手法による調査、ならびに資料の収集・データの入力を行うとともに、第二段階の突き合わせ作業へと進んでいきたいと考えている。
|