研究概要 |
本年度は主に『范氏家乗』の版本や所蔵状況の調査など,書誌学的な研究を行った。その成果は下記の通りである。 1. 東京大学東洋文化研究所,(財)東洋文庫において史料の調査・複写を行った結果,「范氏家乗」および蘇州范氏の族譜には6種類のそれぞれ異った族譜のあることが判明した。いづれも明清時代のものであるが,(1)乾隆11年重修『范氏家乗』,(2)道光30年重修『范氏家乗』,(3)万暦5年『范氏族譜』,(4)道光19年『范氏族譜』,(5)同治9年『范氏家乗』、(6)光緒18年『范氏宗譜』である。このうち(1)と(2)については,同一内容の重修本であることが判明し,その他についてもそれぞれの史料的性格を検討している。 2. 中国山西省社会科学院「家譜資料センター」において,上記の研究についてのレビューを受けるとともに,同センター所蔵の家譜について調査を行った。その結果,上記(1)(2)の続編である光緒25年『范氏家乗』をはじめ,(6)と同一の版本,中華民国4年『范氏宗譜』,万暦21年『休寧范氏族譜』の合計4種類がマイクロフィルムに収められていた。現在、その文献複写を依頼中であり,到着次第上記(1)-(6)とともに内容の検討にはいる予定である。
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