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1998 年度 実績報告書

キリスト教伝道とアメリカ先住民・文化的複合の生成

研究課題

研究課題/領域番号 10710178
研究機関名古屋大学

研究代表者

内田 綾子  名古屋大学, 言語文化部, 助教授 (20283468)

キーワードインディアン / キリスト教 / 文化 / 先住民
研究概要

今年度は、一次・二次資料の入手と分析に努める一方で、二つの論文をまとめた。第一に、19世紀半ばのミネソタのスー(ダコタ)族とプロテスタントのダコタ・ミッション(ボストンのアメリカン・ボード派遣)との接触を考察した。当初、ミッションは比較的容易に布教を広めていったが、次第に困難に直面する。特に1851年、1858年の合衆国政府への土地譲渡以後、保留地生活を送るようになったダコタ族は、宣教師や政府役人への抵抗を強め、食料配給の遅延を契機として1862年、近隣の白人移住者600名余りを殺害する蜂起を起こす。この過程で、ダコタ族の中にはキリスト教に改宗して白人文化に適応しようとする者と、自津的な土着文化を維持しようと抵抗を強めていく者との間で分断が生じ、この時期のキリスト教布教活動がインディアンー白人関係形成に重要な位置を占めていたことが明らかになった。
第二に、白人とインディアンの対立関係を念頭におきながらも、双方の文化が複合し、混交していく過程に注目するために、19世紀末に平原インディアンの間で広まったペヨーテ信仰(Peyotism)について考察した。同化政策が押し進められた1883年から1934年までの時期は、サンダンスなどの伝統儀式が禁止されたが、インディアンはキリスト教をそのまま受容するよりも、従来の信仰に重ね合せるかたちで採り入れ、新旧の要素が混ざり合ったペヨーテ信仰を発達させていった。これらは1910年代になると白人による弾圧の下、かえってインディアン・アイデンティティを支えていく核になっていく。
次年度は、さらに一次資料を中心とした分析を掘り下げ、アメリカ先住民のキリスト教受容とエスニック・アイデンティティとの関わりについて考察を進めたい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 内田 綾子: "ペヨーテ信仰とキリスト教-平原インディアンの文化的複合-" 言語文化論集(名古屋大学言語文化部・国際言語文化研究科). 20・2. 23-36 (1999)

  • [文献書誌] Ayako Uchida: "The Protestant Mission and Native American Response : The case of the Dakota Mission, 1835-1862" The Japanese Journal of American Studies : (The Japanese Association for American Studies). 10(未定). (1999)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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